日本酒発祥の地は奈良だとご存知ですか?
大和朝廷の時代からだから、日本酒も奈良発祥なんでしょう!?と思われた方も多いかもしれません。
確かに、日本書紀の中にも登場しています。
6世紀の末、国中に疫病が流行した際のある日、崇神天皇は、大物主大神様(おおものぬしのおおかみさま)から 「私の子孫である大田田根子(おおたたねこ)を祭主にし、酒を奉納しなさい」というお告げの夢を見たそうです。
崇神天皇はすぐさま酒造りの杜氏であった高橋活日命(たかはしいくひのみこと)を呼び、一夜で酒造りを行い神酒を奉納しました。するとたちどころに疫病がおさまったと言います。
このことで高橋活日命は大神神社の摂社「活日神社」に祀られたのです。古い地図には活日社ではなく、この故事にちなみ「一夜酒之社」と記されており、地元の人はこの摂社のことを今でも「一夜酒さん」と呼んでいます。明治の初期までは近くに酒殿が建っており、醸酒の道具も保存されていたようです。
日本最古の神社 桜井市の大神神社(おおみわじんじゃ)は、お酒の神様としても知られ、11月には醸造安全祈願祭(酒まつり)が行われます。
全国の酒造家や杜氏が参列し、新酒の醸造安全を祈ります。四人の巫女が杉を手に神楽「うま酒みわの舞」を舞い、境内では銘酒の展示が行われ、樽酒が参拝者に振舞われます。お酒に目のない私には、なかなか楽しい?お祭りです。
三輪に掛かる枕詞は味酒(うまさけ)なんです。
味酒(うまさけ) 三輪(みわ)の山 あをによし 奈良の山の 山際(ま)に い隠(かく)るまで 道の隈(くま) い積(つ)もるまでに つばらにも 見つつ行かむを しばしばも 見放けむ山を 情(こころ)なく 雲の 隠さふべしや
この句は天智天皇が都を近江に移すときに、額田王(ぬかたのおほきみ)が詠ったものと言われています。
こういったことで、奈良が日本酒発祥の地といわれていると思っていたのですが、実は、今の透き通った日本酒の発祥が奈良にあるのです。
それが、奈良と天理の間の山あいに位置する紅葉が人気の正暦寺さんです。
正暦寺さんで清酒が造られる前は、お酒といえば濁り酒だったんです。
正暦寺さんでも、毎年1月上旬に「菩提もと清酒祭」が開催され、境内で酒母の仕込みが行われます。仕込みの様子を見学ができ、菩提もと清酒の試飲即売会や、餅つき大会なども行われるそうです。
日本酒 発祥の地って奈良の大神神社?
神代の時代に奈良の地でお酒が造られ飲まれていた記述が『古事記』や『日本書記』などにありますが、どんなお酒なのかは明確ではありません。
大物主大神の助けで酒を造った杜氏祖先の言い伝えがあり、大神神社はお酒の神様としても知られています。
大神神社のご神体でもある三輪山は「三諸山(みむろやま)」と呼ばれてきました。
三輪の枕詞“うまさけ(味酒)”であることからも、奈良は古代から酒造りの中心であったことがわかります。
大神神社で作られていたのは、『君の名は。』で、主人公の三葉が作っていた口噛酒(くちかみざけ)のようなものなのでしょうかね!?
また、境内を流れる川の清水を使って日本で始めて酒造りをしたという言い伝えのある「正暦寺」もあり、奈良は日本酒発祥の地といわれています。
諸説はありますが、日本酒発祥の地と言われる奈良県内には、現在も30強の蔵元があります。
春鹿、風の森、篠峯、花巴、梅乃宿・・・と、人気のお酒もいろいろあります。
大神神社の酒まつりは?
お酒の神さま、大物主大神が祀られている大神神社(おおみわじんじゃ)で行われる醸造安全祈願祭(酒まつり)は、毎年11月14日に行われます。
大神神社には全国の蔵元や杜氏が集まります。
10:30頃から
祝詞が奏上され、巫女さんが1年に1回この日しか披露されない神楽「うま酒みわの舞」が厳かに舞われます。
その後、移動して大神神社の敷地内にある活日神社(いくひじんじゃ)に参拝します。
全国の酒蔵から、大神様に酒造安全と発展を祈ってお供えされたお酒が、拝殿前の廻廊にずらりと並べられていて、なかなか圧巻です。
拝殿前では、参拝者には、ひとり1杯のたる酒が振る舞われています。
拝殿から10分ほどの狭井神社の拝殿の裏手にある薬井戸では、神の山である三輪山から湧き出る御神水「くすり水」を飲むこともできます。
※イベントの情報(日程・場所・内容など)は主催者に確認して下さい。
大神神社は杉玉の発祥地でもあります
祭典前日には拝殿と祈祷殿に取り付けられている直径約1.5m、重さ約200kgもある「大杉玉」が青々としたものに掛け替えられます。
三輪山に繁る杉の木は「神杉」と言われ、目に見えない神が依りつく「依り代(よりしろ)」と考えられています。そのため、全国の造り酒屋では、三輪の神杉を酒の神さまの象徴として祀り、新酒ができあがると杉の葉で作ったくす玉のような「杉玉」を軒先に吊します。それが酒屋である目印にもなりました。
杉玉の発祥は、大神神社酒まつりが行われ、蔵元には杉玉が配られます。
最初は匂いたつあざやかな緑色も日をおって茶色になっていきます。酒の熟成の目安にもなります。
日本酒発祥の地は奈良の正暦寺(しょうりゃくじ)?
日本酒発祥の地の大神神社神社については、大体わかっていただけましたか?もう一つの日本酒発祥の地は正暦寺さんです。
正暦寺さんは、日本清酒発祥之地の碑があるように、それまでの濁ったお酒から今の清酒のもとを作ったのです。
正暦寺のお酒は、平安時代中期から室町時代末期にかけて、奈良(南都)の寺院で諸白でつくられた僧坊酒の始まりで、もっとも上質で高級な日本酒として名声を揺るぎなく保った、南都諸白(なんともろはく)の奈良菩提山(ぼだいせん)正暦寺の銘酒『菩提泉(ぼだいせん)』を作っていました。
清酒発祥の地って?伊丹じゃないの?と思われた方もいてるかもしれませんね。
実は、清酒発祥の地といわれるのは、関西に2カ所あるんです。
1つは、奈良の正暦寺、もう一つは伊丹の江戸期の豪商・鴻池家発祥の地だそうです。
「伊丹は木炭でろ過してすっきりした味と香りの清酒を造り出した。それまでの濃厚な甘口とは違う辛口の酒」
だそうです。
奈良酒の基礎技術をもとに伊丹は辛口の酒で江戸を中心に市場開拓したということなんです。
ということは、清酒発祥の地は奈良 正暦寺ということです。
清酒発祥の地 正暦寺って
正暦寺は山の辺の道から山中に入ったところにあるお寺で、別名「錦の里」、紅葉の名所として知られる自然豊かな寺院です。かつては86あった坊も、本堂、福寿院、坊舎跡に残る石垣のみとひっそりとたたずんでいます。
正暦寺は正暦3年(992年)に一条天皇の勅命を受けて兼俊僧正が創建した寺です。
正暦寺で開発された「諸白づくり」という製法が、日本清酒の原型とされているんです。
正暦寺が清酒発祥の地であることは、室町時代の酒造記である『御酒之日記』や興福寺の僧侶によって室町時代末期から書き継がれた『多聞院日記』など、種々の古文書から明らかなんだそうです。
室町幕府の政情や武家社会の動静などを知るうえに不可欠な史書『蔭涼軒日録』には、室町幕府9代将軍足利義尚は「もっとも可なり」と絶賛しました。そのことから、正暦寺のお酒は「無上酒」(この上が無い酒)と呼ばれていたそうです。
正暦寺でずっとお酒を作っていたの?
室町時代、当時酒造りの筆頭格正暦寺で菩提元(ぼだいもと)と呼ばれる酒母(酵母を大量に含むアルコール発酵の元)を作る新技術が開発され名酒“菩提泉(ぼだいせん)”を生みだしました。これは、日本酒造りの基本となっている画期的な技術だったとか。
本来、寺院での酒造りは禁止されていましたが、神仏習合の形態をとる中で、鎮守や天部の仏へ献上するお酒として、自家製造されていたそう。荘園で造られた米から僧侶が醸造するお酒を「僧坊酒」と呼ぶそうで、当時の正暦寺では、仕込みを3回に分けて行う「三段仕込み」や腐敗を防ぐための火入れ作業行うなど、近代醸造法の基礎となる酒造技術が用いられていたそうです。
奈良僧坊酒の全盛期は戦国時代で、最高級の酒、南都諸白(もろはく)と呼ばれて江戸時代初期まで、奈良の僧坊酒は日本酒の中核的地位を占めていました。
が、江戸で酒の需要が高まるにつれて、産地が内陸の奈良から海上輸送に便利な灘、西宮へ移り奈良酒は衰退していったそうです。
大正時代に一度途絶えてしまったこの幻の酒造法を復活させようと20年程前、奈良県内の蔵元の有志らが立ち上がり、数年に及ぶ地道な調査と努力の結果、正暦寺の境内から「菩提酛酵母」と菩提山の岩清水から特別な「乳酸菌」が発見され、現代に「菩提酛造り」の酒が蘇えったそうです。
正暦寺の酒祭りは普通のお祭りではなく、境内で酒母の仕込みが行われます。
「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」に所属する蔵元が持ち帰り、その酒母を用いて清酒を醸造しています。
菩提元で醸造した酒は、古の芳醇な香りがする奈良の新しい“うま酒”として好評だそうです。
|
正暦寺の菩提元で醸造したお酒
銘柄 | 酒造元 | 所在地 | 備考 |
三諸杉 (ミムロスギ) | 今西酒造 | 桜井市 | 大神神社のお膝元 |
嬉長 (キチョウ) | 上田酒造 | 生駒市 | 直販中心 |
やたがらす | 北岡本店 | 吉野郡 | |
百楽門 (ヒャクラクモン) | 葛城酒造 | 御所市 | |
つげのひむろ | 倉本酒造 | 奈良市 | 金嶽 |
菊司 (キクツカサ) | 菊司醸造 | 生駒市 | |
升平 (ショウヘイ) | 八木酒造 | 奈良市 | |
鷹長 (タカチョウ) | 油長酒造 | 御所市 | 風の森 |
正暦寺の酒祭り 菩提もと清酒祭
正暦寺の酒祭り 菩提もと清酒祭は正暦寺で毎年1月上旬に開催され、境内で酒母の仕込みが行われます。
一般の方も仕込みの様子を見学することができます。また、菩提もと清酒の試飲即売会や、作業のおよその説明とご住職による菩提酛復活の説明もあります。
10:00~13:00 時間はおよその目安で、作業は早く始まることもあるようです。
場所:奈良市 奈良市菩提山町157番地 菩提山正暦寺
JR帯解駅から、東に徒歩1時間半のため、車かタクシーの利用を推奨
駐車場は80台ですが、イベントスペースに使われて減りますので、9時ころには着いておくと安心です。
最後に、今回紹介した情報がお役に立てましたら、
こちらの「ブログランキング」をクリックして頂ければ幸いです。
頂いたクリックを励みに、奈良のカフェを中心に情報を届けさせて頂きます。