世尊寺

奈良の吉野 大淀町の世尊寺は、『日本書紀』にも登場する「吉野寺(よしののてら)」の法灯を受け継ぐ禅宗寺院です。

聖徳太子により建立されたと伝えられていますが、はっきりしたことはわからないようです。が、日本書紀や瓦や伽藍配置などから、少なくとも飛鳥時代(7世紀後半)には存在していたと推測されているそうです。

春の桜・ツツジ、夏のサルスベリ、秋の彼岸花と四季を通して花の寺でもあります。

今回初めて桜の時期に寄ったのですが、とっても素敵な桜の風景が広がっています。
世尊寺

あいにく、本堂は公開していなかったので、外からしか見れませんでしたが、歴史と自然を感じる素敵なお寺でした。

世尊寺の周辺には、丸池カフェ・レバーグ・こばしのやきもち・らぺっしゅのモンブラン、柿の葉寿司の平宗の本店など車なら10分もかからず行けるところにあります。

世尊寺から吉野山の蔵王堂まで、車だと15分ほどで行けるので、吉野山の帰りに寄るのもおすすめです。

奈良の吉野 大淀町の世尊寺って

世尊寺のある場所は、
奈良時代(8世紀頃)には、東西に塔を配置する薬師寺式の伽藍を整えていた比曽寺(比蘇寺)跡になります。

比曽寺は、聖徳太子建立の48ヶ寺の一つとされ、寺名を吉野寺→比曽(比蘇)寺→現光寺→栗天奉寺→世尊寺と変遷しながら、現在は国指定史跡「比曽寺跡(ひそでらあと)」として登録されています。

56代清和上皇、59代宇多上皇、更に藤原道長も参詣したとあり、法興寺(飛鳥寺)・四天王寺・法隆寺とともに「四大寺院」と称されるほど大いに栄えていたようです。

壷阪寺から比曽寺を経て金峯山寺へ詣でる「吉野詣」の古道に位置する比曽寺(当時は「現光寺」)。

役行者(えんのぎょうじゃ)を祀っているのは、金峯山入峯前にこの寺で修行したことからと伝わるそうです。

世尊寺境内には、比曽寺の塔跡の礎石が残されています。

世尊寺

比曽寺の東塔跡に建っていたとされる、高さ約25mの鎌倉・南北朝時代の三重塔は、慶長2年(1597年)、豊臣秀吉によって伏見に移された後、慶長5年(1600年)、徳川家康によって滋賀県の三井寺に寄進されました。現在は国の重要文化財(建造物)となっています。
比曽寺は、江戸時代半ばの寛延4年(1751年)、禅宗寺院の世尊寺として復興され、現在に至っています。

世尊寺の太子堂の栗の字の意味は

世尊寺で驚いたのは、鬼瓦の丸瓦?に栗という文字があることです。いろんな模様は見ますが、栗という漢字は初めてです。

調べてみると、世尊寺は、96代後醍醐天皇自ら「栗天八一山『栗天奉寺(りってんほうじ)』」の山号・寺号を与え、勅願寺とされたことから、聖徳太子孝養像をお祭りする太子堂の軒丸瓦には、後醍醐天皇(1288-1339年)から賜った寺名「栗天奉寺(りってんほうじ)」の「栗」の字が残されているのだそうです。古いものには、「栗天奉寺」の名が記されているものもあるのだとか。

世尊寺はいろいろすごいです^^

世尊寺

太子堂

世尊寺本堂の南西に東面して建っている、太子堂

世尊寺

寺に残る聖徳太子孝養像は、鎌倉~室町時代に制作されたもので、太子堂の創建と聖徳太子の信仰が、江戸時代以前に遡ることを示しています。
世尊寺では毎年4月29日(かつては4月22日)、聖徳太子の会式「おたいっさん」が行われます。

阿弥陀如来座像や木造十一面観音立像

本尊阿弥陀如来は日本書紀によればわが国最初の仏像だそうです。座高145センチ、面長で穏やかに微笑む表情から「吉野路の微笑仏」と呼ばれ、明治24年(1891)に国の重要美術品に指定された。

クスノキ一本造りの阿弥陀如来座像が本尊。『日本書紀』に、「大阪湾に光輝きながら浮いているクスノキを使い、欽明天皇の勅命によって造られた仏像」との記載があり、それがすなわち同寺本尊だそうです。

さらに、世尊寺に残る十一面観音立像は、頭頂部に十一面の観音をあらわした高さ約2.18mの巨像で、木造の十一面観音としては、吉野地域でもっとも古いもの。

現光寺縁起絵巻

17世紀後半ごろ制作された、現光寺縁起絵巻は吉野郡最古の寺院である比蘇寺(現光寺)に伝わったもので、飛鳥時代の創建から、鎌倉時代の再興までの当寺の縁起が記されているそうです。
上巻は、光を放つクスノキで作られた日本最古の釈迦・観音像の由来と、仏像2躯が当寺にまつられるまでの由緒が説かれ、下巻は、沈水香の流木で作られた十一面観音像と聖徳太子像の事、比蘇寺や現光寺の寺号、栗天八一(りってんはちいち)の山号の由来、伽藍の様子、天皇の行幸などが語られているそうです。

大淀町の世尊寺の花

仏像も素晴らしいですが、世尊寺は花の寺としても魅力的です。

世尊寺の桜

桜は素晴らしかったです。石楠花や紫モクレンなども素敵です。

世尊寺

世尊寺

世尊寺世尊寺には「壇上桜」と呼ばれている山桜があります。

元は、十一面観音菩薩立像の前の壇上に置かれた「水瓶」に差してあった一本の桜の枝が根付いた「聖徳太子お手植えの桜」なのだそうです。次回はしっかりチェックしたいと思います。

世尊寺のつつじ

境内にある丸いのがツツジです。5月くらいが見ごろでしょうか。

世尊寺

世尊寺のさるすべり

高さ約15メートル、樹齢100年を越える古木が咲かせるのは、珍しい純白のさるすべり。
7月上旬~9月中旬

世尊寺の彼岸花

彼岸の頃に咲く彼岸花もすごいですね。
壇上桜のすぐ脇にも、より大きな彼岸花の群生地があるそうなので、お見逃しなく。

大淀町の世尊寺周辺のランチやお土産グルメ

世尊寺周辺にはおすすめのお店がいろいろあります。
丸池カフェさんはかき氷も人気です。

世尊寺周辺のランチ

丸池カフェ

吉野の大淀町に古民家人気カフェの丸池カフェが移転。季節の野菜たっぷりのMARUIKEランチとお庭も魅力的

カフェ レ バーグ

奈良の吉野町のカフェ レ バーグは吉野山の前後に寄りたい隠れ家カフェ 丁寧に作られたランチは要予約です

世尊寺周辺の美味しいお土産

ラ・ペッシュ

吉野の六田駅のラ・ペッシュさんのモンブランは冬がおすすめ!? パンやシュークリームやマカロンもおすすめ

こばし餅店 焼きもち

作りたてのお餅が
吉野郡吉野町立野280
0746-32-2347
8:00~売り切れ迄
お昼ごろでなくなっていることも多いので、予約しておくのが安心です。
定休日:木曜日

美吉野醸造(株)

人気の花巴 (はなともえ)の他に甘酒もとっても美味しいです。
吉野郡吉野町六田1238番地1
0746-32-3639
9:00~17:00
11月から2月までの製造時期のみ蔵見学会開催
参加費用 500円(花巴利き猪口付き)
電車でお越しの方へ
近鉄吉野線 六田駅を下車徒歩10分
「近鉄あべの橋」駅又は「橿原神宮前」駅から「吉野行き」に乗車してください。

平宗本店

柿の葉寿司の平宗本店も車で10分ほどで行けます。

吉野郡吉野町飯貝614
0746-32-2053
8:30~18:30
食事は11:00~18:30(L.O.18:00)
駐車場 店舗内14台

道の駅 吉野路大淀iセンター

レストランときんさんのバーガーも人気です。
野菜や果物も充実していますし、オーカワのこんにゃくや嘉兵衛本舗さんのお茶もあります^^
梨ケーキなど季節限定商品もたくさんあるので、吉野方面に来られる場合は、チェックしてください。
吉野郡大淀町大字芦原536−1
0747-54-5361
営業:8:30~17:30 平日 季節により変更あり
営業:8:00~18:00 土・日・祝 季節により変更あり
休館:火 火曜が祝日の場合は翌日

奈良の世尊寺の基本情報

住所 吉野郡大淀町比曽762
電話番号 0746-32-5976
営業時間 9:00~17:00
定休日
入山料 入山料:100円   本堂拝観料:300円(入山料は別途必要)
駐車場
最寄り駅 近鉄六田駅からバスで5分
徒歩で30分以上はかかりますので、大和上市駅からのタクシーが便利です。

世尊寺のまとめ

世尊寺はほんとに静かな静かな里にありますが、今回行ってみて、すごい歴史のあるすごいお寺だということがわかりました。桜も本当に素敵でした。

世尊寺は明日香村の南にあたり、また、世尊寺から南へ下ると吉野川や吉野山。

飛鳥時代末期から奈良時代は「吉野寺」と称します。

金峯入峯前に役行者がここで修行をしたので、寺は「行者道分道場」とも呼ばれたとか。

古代から中世にかけて盛んに行われた、壷阪寺から世尊寺(比曽寺)を経て吉野山の金峯山寺へ詣でる「吉野詣」の古道に位置しています。

聖徳太子がたてたお寺だということ、法興寺(飛鳥寺)・四天王寺・法隆寺とともに「四大寺院」と称されるほど大いに栄えた時代があったということ、56代清和上皇、59代宇多上皇、更に藤原道長も参詣している。等々すごいです。

南北朝の動乱期に数々の塔頭と共に焼失したものも多いようです。

また、中国の学僧(神叡・道叡)も滞在。

唐僧の神叡ははじめ元興寺へ赴き、比曽寺に20年間こもって虚空蔵菩薩を本尊として修行しました。

空海や最澄がこの地に足を運び、神叡に求聞持法の伝授をお願いしたとか。

こんなにすごい歴史を持つお寺とは知らなかったです。

世尊寺周辺には美味しいお店も多いので、世尊寺と合わせて訪問することをお勧めします。


人気ブログランキング

こちらの「ブログランキング」をクリックして頂ければ幸いです。

頂いたクリックを励みに、奈良のカフェを中心に情報を届けさせて頂きます